本の話

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("Fully Booked", Bonifacio High Street, Taguig City)
まえにも書いたのですが、フィリピンの人びとは、どうもあまり本を読まないのではないかと思います。これも勝手な思い込みかもしれないけれど。本屋さんにある本の数も少ない。もちろんマニラには写真のような立派な本屋さんがいくつかあるのだけど、ほとんどがアメリカの本で占められている。フィリピンで出版されている本はとても少ないのだろうと思いました。




タガログ語(フィリピノ語)で書かれた本なんてわずかしかない。わたしはタガログを勉強していたので、先生に何かタガログで書かれたよい本があれば推薦してください。とお願いしたのだけど、先生は困ったような顔をして「この国でまともな書籍はほとんど英語で書かれている」と言った。しかたなく自分で選んで買ってきたタガログの小説をぜんぜんわからないながら気張って読んでみたのだけど、ずいぶん読み進んだところでこれはもしかするとエロ小説なのかもしれないと気付いた。(そして途中でギブアップしてしまいました。)

フィリピンに行くとき、好きな本・読み返したい本・まだ読んでない本を選んで大切に持って行ったのだけれど、ときどき思い出したようにぼちぼち読むくらいで、結局ほとんど読まなかった。わたしは仕事も子どももないので時間がありあまっていたにもかかわらず・・・。わたしはとくべつ読書家ということもないけれど、これまでの人生で本を読むことを忘れたことはあまりなかった。

だけどフィリピンにいると・・・何がそうさせるのか?なんか、本を読むことなんか忘れさせる雰囲気が漂っている。南国の強い日差しと気だるい空気のせい?つまりたんに暑いだけなんちゃうと言われればそれまでなのだけど、でもエアコンだってあるし、マニラでも12月から2月くらいはわりと過ごしやすいのだし、それに例えば同じ南国でもベトナムの人びとは本や新聞が好きだったように思う。

わたしにとっては2年間のマニラ生活は長い旅のようなもので、外に出ればたんに本よりもおもしろそうなものごとがそこらじゅうにあふれていて、本なんか読んでるあいだにそういうものを逃してしまうような気がして、例えば読もうと持ち歩いていた一冊をそのまま持ち帰るということが多かったのかもしれない。だからと言って家にいて時間のあるときには、せっかくフィリピンにいるのだからと思ってなるべくフィリピンのテレビや映画を見るようにしていたりで、結局本を開くのは寝る前のほんの短いひとときとなってしまうのだった。

フィリピンの多くの人びとにとってはきっと、本なんか黙々とひとりで読む時間があるのなら、家族や友達や近所の人と長々とおしゃべりしたり、そうでなければみんなでにぎやかにテレビを見たり、ひとりであっても携帯電話で友達と他愛のないテキストを送り合うそういう時間のほうが有意義な時間なのだ。

なんとなく本を読むほうが読まないよりエライような気がしてしまうけれど、ぜんぜんそんなことはないと思う。フィリピンにいるととくに、ぜんぜんそんなことはないという気がした。
日本に帰って本屋さんに行くと夢のようにたくさんの本が並んでいてうれしいのだけど、あまりにその量が多すぎて脅迫的にさえ感じられるときがある。自分にほんとうに必要な本を見つけるのがとても難しく思えます。
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